名古屋城天守閣の木造復元計画について、名古屋市の河村たかし市長は29日、2022年末完成の現行計画を断念し、完成時期を先送りする方針を初めて示した。復元そのものは断念しない。天守閣木造復元は河村市長の看板政策だが、石垣保存計画を巡り有識者の反発が大きく、工期に間に合うように文化庁の許可を得ることは困難だと判断した。
河村市長が午後5時45分から報道陣に明らかにした。新たな完成時期については明言せず、「リニア(中央新幹線東京―名古屋間)完成(27年)まではかからない」と述べるにとどめた。
復元に先行する現天守閣の解体許可申請については取り下げず、文化庁の審議結果を見守る方針だが「継続審議となっており、解体工事に着手できていない」と指摘。「事業を進めるためには、クリアすべき調査・検討に全力を挙げて取り組む必要があると考え、完工期限を延ばすこととした」と説明した。
今後、文化庁の指摘を踏まえて内堀や天守閣地下遺構の発掘調査、大天守台の石垣の健全性などさまざまな検討が必要だとし、そうした検討の不備を訴え市の現行計画に反対してきた有識者会議(石垣部会)との関係構築に努める意向を示した。
名古屋城天守閣は1945年5月の空襲で焼失。戦後の59年に鉄筋コンクリートで再建された。しかし、老朽化に伴う耐震性の課題を受け、昨年5月から入場禁止となっている。
完成時期が遅れれば、入場禁止期間が長引く上、復元のため調達している木材の倉庫代がかさみ、現在は約504億円としている事業費が膨らむ恐れがある。
復元計画は09年に初当選した河村市長が「1000年先でも自慢できるものを残す」と打ち出し、11年の出直し選で公約に掲げて再選したことで議論が加速した。17年3月に市議会で予算が成立し、同5月に大手ゼネコンの竹中工務店と22年末までを工期とする基本協定を締結した。
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